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数学の分野で、ある可測な位相空間 (''X'', Borel(''X'')) 上の測度 ''μ'' の台(だい、)とは、その空間 ''X'' のどこでその測度が「生きている」かということに関する厳密な概念である。しばしば位相的台(topological support)やスペクトル(spectrum)と呼ばれることもある。そのような台は、すべての点のすべての近傍が正の測度を持つような、''X'' の最大の(閉)部分集合で定義される。 == 動機 == ある可測空間 (''X'', Σ) 上の(非負の)測度 ''μ'' は実際、函数 ''μ'' : Σ → と表すことが出来る。したがって、通常の台の定義に従えば、''μ'' の台は次のような σ-代数 Σ の部分集合となる。 : しかし、この定義にはいくらか不十分な点がある。実際、Σ 上の位相すら与えられていないのである。今我々が本当に知りたいことは、空間 ''X'' 内のどこにおいて測度 ''μ'' が非ゼロとなるかということである。次のような二つの例を考えよう。 # 実数直線 R 上のルベーグ測度 ''λ'' を考える。''λ'' が実数直線全体で「生きている」ことは明らかである。 # ある点 ''p'' ∈ R に関するディラック測度 ''δ''''p'' を考える。再び直感的に、測度 ''δ''''p'' は点 ''p'' において「生きており」、その他のどこにおいても生きてはいないことが分かる。 以上の二つの例を考慮すれば、以下に述べる定義の候補はいずれも却下されることが分かり、次の節で述べる定義が採用される。 # ''μ'' がゼロとなるような点を除き、残りの部分 ''X'' / を台として定義する場合。これはディラック測度 ''δ''''p'' には適しているが、ルベーグ測度 ''λ'' には適さない。実際、任意の点のルベーグ測度はゼロであるため、この定義では ''λ'' の台は空集合となってしまう。 # 狭義正測度の概念と比較することで、近傍の測度が正となるようなすべての点からなる集合 ::: :を台と定義する(あるいはこの閉包で定義する)場合。これもまた適切ではないことが簡単に分かる。実際、すべての点 ''x'' ∈ ''X'' に対して ''N''''x'' = ''X'' とすれば、ゼロ測度を除くすべての測度の台が ''X'' 全体となってしまう。 しかし、「局所狭義正」(local strict positivity)の概念は、測度の台の定義として丁度良いものであることが、次節で分かる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「台 (測度論)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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